C4家族・介護する人の悩み

72. 介護と子育ての「ダブルケア」で限界を感じている方へ

先日、70代の奥様からお電話をいただきました。声が少し震えていて、最初は何をおっしゃっているのか聞き取れないほどでした。

「主人が脳梗塞で倒れて、もう1年以上になります。歩けないので、お風呂だけはどうしても私が入れてあげないといけないんです。でも……最近、私の腰が限界で。昨日、一緒に倒れそうになってしまって」

そのお電話の奥に、長い時間をかけて積み上がってきた疲労と、それでも諦めずに夫を支えてきた愛情が、ぎゅっと詰まっているように感じました。

「ダブルケア」というと、子育てと介護を同時に抱える30〜40代のイメージが強いかもしれません。でも実際には、老老介護の中で夫婦がお互いを支え合う「もう一つのダブルケア」が、加須市内にも確実に増えています。この記事は、そのお電話をくださった奥様と歩んだ3ヶ月の話です。

📋 この記事でわかること

  1. 老老介護における入浴介助の限界がなぜ危険なのか、その構造的な理由
  2. 1日型デイサービスと自宅浴室バリアフリー化を「同時に」進める具体的な手順
  3. 介護保険の住宅改修費20万円枠の使い方と、申請の流れ
  4. 「施設のお風呂が一番の楽しみ」になるまでの、ご利用者様の変化

こんな方におすすめ

  • ✅ 高齢の配偶者の入浴介助を一人で続けていて、腰や体に限界を感じている方
  • ✅ 自宅の浴室の段差や滑りやすさが心配で、転倒事故を恐れている方
  • ✅ デイサービスの利用を検討しているが、どこに相談すればいいか分からない方
  • ✅ 介護保険の住宅改修費を使いたいが、手続きの流れが分からない方
  • ✅ 親の介護を遠くから心配している50〜60代の子世代の方
72. 介護と子育ての「ダブルケア」で限界を感じている方へ | 株式会社ホープシード

「二人で倒れる前に」——あの電話から始まった話

お電話をくださった奥様(72歳)の夫・義雄さん(84歳)は、昨年秋に脳梗塞を発症し、左半身に後遺症が残りました。リハビリ病院を退院後、ご本人の強い希望で自宅に戻ってきたそうです。

「主人は家が好きで。病院では毎日『家に帰りたい』と言っていたんです。だから私も、できる限り自宅で看たいと思って」

退院後しばらくは、週2回のヘルパーさんと奥様のふたり体制でなんとか回っていました。ところが問題になったのが、入浴介助です。義雄さんは歩行困難で、浴槽のまたぎ動作が一人ではできません。ヘルパーさんの派遣時間に入浴を合わせると週2回しかお風呂に入れない。残りの日は、奥様が一人で介助するしかない状況でした。

自宅の浴室は、築35年の在来工法。浴槽の縁の高さが床から55センチほどあり、洗い場との段差も大きい。タイル張りで滑りやすく、手すりは一本もついていませんでした。義雄さんを支えながら浴槽をまたがせるたびに「今日こそ転ぶかもしれない」という恐怖と戦いながら、奥様は1年以上、その介助を続けてきたのです。

老老介護を続けている家族が「限界」を感じる前に取るべき行動でも詳しくお伝えしていますが、介護する側が倒れてしまうと、在宅生活そのものが崩壊してしまいます。「二人で倒れる前に」動くことが、何より大切なのです。

なぜ入浴介助だけがこんなに難しいのか

介護の中でも、入浴介助が特に「危険で重い」作業であることは、あまり知られていません。

浴室という空間は、介護の観点からすると最も条件の悪い場所のひとつです。床は濡れていて滑りやすく、動ける範囲が狭く、介助者が適切な姿勢をとれないまま支える場面が続きます。片麻痺の方が浴槽をまたぐ瞬間は特に不安定で、体重が一点に集中します。介助者の腰への負担は、平地の移乗介助と比べてはるかに大きい。

それに加えて、在来工法の古い浴室は段差が高く、手すりがないことがほとんどです。こうした環境のままでは、どれほど気をつけていても転倒リスクは日常的に存在し続けます。

奥様のケースでは、入浴の頻度が下がっていることも問題でした。週2〜3回しか入浴できないと、清潔保持が難しくなるだけでなく、義雄さんの気力・意欲にも影響が出てきていたといいます。「お風呂に入れてあげられなかった日は、主人も私も気持ちが沈むんです」と奥様はおっしゃっていました。

✓ ここまでのポイント

  • 在来工法の段差・タイル床・手すりなしの浴室環境は、老老介護における転倒リスクの温床になりやすい
  • 入浴頻度の低下は、身体的な清潔だけでなく、本人・介護者双方のメンタルにも影響を与える
  • 介護する側が限界を迎える前に、複数のサポートを組み合わせる「二段構え」が不可欠

デイサービスでの入浴と自宅浴室の改修を「同時に進める」流れはわかった。でも、うちの場合はどちらから手をつければいいのか、介護保険の申請は誰に頼めばいいのか、まだ整理しきれていない方も多いと思います。ホープシードへのお問い合わせでは、義雄さんのケースのように、デイサービスの利用と住宅改修の申請を一括してサポートする具体的な進め方を個別にお伝えしています。

入浴介助の負担と住宅改修について相談する

「施設でのお風呂が一番の楽しみ」になるまで

私たちがまず提案したのは、1日型デイサービス「リハスタジオプラス」への週3回の通所でした。

義雄さんははじめ、デイサービスに強い抵抗感を示しました。「人に世話になるのが嫌だ」というプライドと、「家を離れたくない」という不安が重なっていたのでしょう。奥様も「無理やり連れて行かせるのはかわいそうで……」と迷っておられました。

そこで施設長の渡邊が直接ご自宅へうかがい、義雄さんとゆっくりお話ししました。「試しに一度だけ」というお約束で体験利用をしていただいたとき、義雄さんが一番驚いたのが入浴でした。

「岩塩入りのお風呂で温泉に入っているような感覚に。この施設でのお風呂が一番の楽しみ」

リハスタジオプラス ご利用者様

リハスタジオプラスでは、天然ミネラル岩塩を使った浴槽でゆっくりと入浴していただけます。義雄さんも体験後、「こんなお風呂は家でも入ったことがなかった」と笑顔を見せてくださったそうです。週3回の通所が始まってから、入浴に対して積極的な気持ちが生まれ、その日を「楽しみ」として待てるようになったと、奥様から連絡をいただきました。

介護施設のお風呂というと、どこか「作業的なもの」を想像される方もいるかもしれません。でもリハスタジオプラスのお風呂は、利用者様にとってひとつの「楽しみの時間」として設計されています。清潔を保つためだけでなく、温もりと気持ちよさを感じていただける場所であること。それが在宅生活を続ける上での、小さくて大切な支えになるのだと、義雄さんを通して改めて気づかせてもらいました。

同時進行で進めた「自宅浴室のバリアフリー化」

デイサービスの利用と並行して、私たちは自宅浴室のリフォームも提案しました。週3回は施設で安全に入浴できる。でも残りの日も、できれば自宅でのお風呂を安心して楽しんでほしい。そのための「二段構え」です。

介護リフォームには、介護保険の住宅改修費として最大20万円(自己負担1〜3割)が支給される制度があります。この制度を使って、義雄さんのご自宅では以下の工事を行いました。

浴室バリアフリー改修 STEP 1

ケアマネージャーへの事前相談・書類準備

住宅改修費の申請は、工事前にケアマネージャーを通じて市区町村に申請する必要があります。義雄さんのケースでは、私たちがケアマネージャーと直接連携し、書類準備から申請まで一括でサポートしました。

⚠️ 工事を先に始めてしまうと補助金が受け取れなくなります。必ず事前申請を確認してから着工してください。

浴室バリアフリー改修 STEP 2

現地調査・プランニング

実際に浴室を確認し、浴槽の高さ・洗い場の広さ・義雄さんの動線を細かく把握した上でプランを作りました。「介護する側」の奥様の動作も同時に確認し、介助しやすい手すりの位置・高さを設計に反映しています。

⚠️ カタログだけで判断して取り付けた手すりが、実際の動作と合わないケースがあります。必ず現地で利用者本人・介助者の動きを確認した上でプランを立てることが重要です。

浴室バリアフリー改修 STEP 3

施工・完成確認

今回の工事では、浴槽への手すり設置(縦・横2本)、洗い場への防滑マット対応の床材変更、洗い場と浴室入口の段差解消、脱衣所への縦手すり設置を行いました。義雄さんと奥様それぞれに実際に動いていただき、「使いやすさ」を確認してから工事完了としています。

⚠️ 工事後は必ず利用者・介助者の双方で動作確認を。施工後に「やっぱりここが使いにくい」となっても、すぐに対応できる工務店に依頼することが大切です。

「介護リフォームは、カタログや図面だけでは正解が出ません。実際に介助する方の体格・利き手・動作のクセ、そして介護される方の身体状況を現場で確認して初めて、本当に使える改修ができると思っています。私たちは自社でデイサービスを運営しているので、介護の現場で積み上げた知識をそのまま設計に活かせる。それがいちばんの強みだと感じています」

伊澤 幸子(株式会社ホープシード 代表取締役)

ホープシードが他と大きく違う点は、介護事業と建設業を同じ会社が担っていることです。デイサービスで毎日利用者様と接しているスタッフが「この段差が危ない」「この手すりの位置だと介助しにくい」という現場感覚を持ったまま、リフォームの現場に活かせる。大手ハウスメーカーや一般のリフォーム業者には、なかなかできない部分です。

また、ヘルパーだけで在宅介護を乗り越えようとしたときの限界ラインについても別の記事でお伝えしていますが、ヘルパーと施設と住環境の三つを組み合わせて初めて、在宅継続が現実的になるケースがほとんどです。

3ヶ月後、奥様から届いたメッセージ

工事が完了し、デイサービスの利用が安定してから3ヶ月ほど経ったころ、奥様からメッセージをいただきました。

「主人がデイに行く日を楽しみにするようになりました。お風呂の話を帰ってきてよくするんです。家のお風呂も、以前みたいにドキドキしながら入れることがなくなって、私も少し楽になりました。ありがとうございました」

その言葉を読んで、率直にほっとしました。入浴という、毎日の当たり前の時間が「怖いもの」から「楽しみ」に変わる。その変化が、ご夫婦の在宅生活全体を少し明るくしてくれた。そのお手伝いができたことが、私たちの仕事のやりがいそのものだと感じています。

「ダブルケア」の重さは、外からはなかなか見えません。でも、一人で抱え込まないでほしいのです。介護保険の仕組みや、住宅改修の制度、デイサービスの選び方——知っているかどうかで、選べる選択肢がまったく変わってきます。「妻の介護がもう限界」と告白した夫の話でも、動き出すタイミングの大切さをお伝えしています。

まとめ——「二段構え」が、在宅生活を続ける力になる

老老介護の中で入浴介助の限界を感じているとき、「施設に預けるか、自宅で頑張るか」の二択で考えてしまいがちです。でも実際には、その両方を組み合わせることが、最も現実的で安心できる選択肢です。

週3回のデイサービスで安全な入浴を確保しながら、自宅浴室のバリアフリー化で残りの日も安心できる環境を整える。介護保険の住宅改修費最大20万円の枠を活用すれば、経済的な負担も抑えられます。

ホープシードは、介護事業・建設業・不動産のすべてを加須市でワンストップで担える、この地域では数少ない事業者です。業界経験21年の代表・伊澤が、ご家族の状況に合わせた具体的な提案をさせていただきます。

「うちはどこに相談すればいいの?」と迷っている方、まずはお電話でご状況をお聞かせください。
📞 0480-53-7288(受付:月〜土 8:30〜18:00)

「二段構え」の仕組みは理解できた。あとは、自分たちの状況に合わせてどう組み立てるかです。介護度・浴室の構造・家族の体力——条件が違えば、最適な順番も変わります。お問い合わせフォームから現在の状況をお知らせいただければ、加須市内での対応実績をもとに、次の一手を具体的にお伝えします。

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