デイサービスを拒否する高齢者の割合は、ある調査では6割以上に上るとも言われています。「施設に入れられる」「老人扱いされる」――そんな思い込みが、本人の中で強い抵抗感を生んでしまうのです。特に認知症の傾向がある方の場合、不安や恐怖が言葉にならないまま「嫌だ」という一言に凝縮されることが少なくありません。
今回は、私たちリハスタジオ花咲のスタッフが実際に経験した「拒否から笑顔まで」の物語をお伝えしながら、最初の3日間をどう乗り越えるかを一緒に考えていきたいと思います。加須市内で「親のことが心配だけど、デイを嫌がって困っている」というご家族様のヒントになれば嬉しいです。
📋 この記事でわかること
- 認知症の方がデイサービスを拒否する本当の理由
- 抵抗が自然に和らぐ「最初の3日間」の関わり方と導入ステップ
- リハスタジオ花咲が大切にしている「拒否しない環境づくり」の工夫
- 体験利用から始める、家族も安心のスムーズな利用開始の流れ
こんな方におすすめ
- ✅ 「デイサービスは嫌だ」と繰り返す認知症の親を持つご家族様
- ✅ 介護と仕事の両立に限界を感じている50〜60代の方
- ✅ 体験利用を検討中だが、拒否されそうで一歩踏み出せない方
- ✅ 加須市内で認知症対応のデイサービスを探している方
- ✅ ケアマネジャーから「デイを勧めてみては」と言われているが行動できていない方

「行かない」の裏にあるもの ― あるご利用者様との出会い
少し前のことですが、加須市内にお住まいの80代の女性、Kさんのお話をさせてください。娘さんから最初にご連絡をいただいたとき、電話口でこうおっしゃいました。
「母が『デイなんて行ったら、そのまま施設に入れられる』って信じ込んでいて。何を言っても怒り出してしまうんです……」
Kさんは、ご主人を数年前に亡くされてから一人暮らしをされていました。軽度の認知症があり、日常生活に少しずつ支障が出てきていたのですが、娘さんが仕事をしているため平日は一人で過ごすことがほとんど。それでもKさん本人は「まだ一人でできる」という強いプライドをお持ちで、デイの話を持ち出すたびに険悪な空気になってしまっていたそうです。
この「施設に入れられる」という誤解、実はとても多くの方が持っていらっしゃいます。デイサービスは毎日ご自宅に帰れる通所介護なのですが、施設入所と混同してしまうケースは珍しくありません。特に認知症の方の場合、新しい情報が記憶に定着しにくいため、「知らない場所・知らない人」への不安が「嫌だ」という言葉に直結してしまうのです。
最初の3日間 ― 「無理に慣れさせない」が鉄則
私たちリハスタジオ花咲が大切にしているのは、最初の3日間を「体験」ではなく「顔見知りになる時間」として設計することです。
はじめての一歩 STEP 1
「ちょっとだけ見学」から始める
Kさんの場合、最初は娘さんと一緒に「施設を見るだけ」という名目でいらしていただきました。「入会する・しない」はまったく考えず、ただスタッフと少しお話しするだけ。私たちも「今日はお話しするだけでいいですよ」とお伝えしながら、Kさんの好きな花の話題を引き出しました。Kさんは昔からお庭の手入れが趣味だったそうで、チャレンジクラスの外出先として「菖蒲グリーンセンター」や「神代植物公園」の話をすると、目がぱっと明るくなりました。
⚠️ この段階で「来週から通いましょう」と急かしてしまうのは逆効果です。本人が「ここは安全な場所かもしれない」と感じるまで、時間をかけて関係を築くことが大切です。
安心の土台づくり STEP 2
「半日だけ」の体験利用で成功体験を作る
2回目は午前中だけの体験利用。リハスタジオ花咲は半日型のリハビリ特化型デイサービスなので、最初から「長時間いなければならない」というプレッシャーがありません。Kさんには「今日はクロスワードだけ一緒にやってみませんか」とお誘いし、他のご利用者様との自然な会話が生まれる場面を作りました。帰り際、Kさんが小さな声で「ここ、悪くないわね」とつぶやいたときのスタッフの表情は、今でも忘れられません。
⚠️ 体験当日は「送迎時に玄関で泣いてしまう」こともあります。そのときはスタッフが一緒に玄関で過ごし、「帰りたくなったらいつでも言ってね」と声をかけることで、安心感を先に渡すようにしています。
「自分の居場所」と感じる瞬間 STEP 3
名前で呼ばれ、役割を感じる3日目
3日目には、Kさんに「Kさん、先週のクロスワードの続きを待ってたんですよ」と声をかけました。たった一言ですが、「自分のことを覚えてくれている」「待っていてくれた」という感覚は、認知症の方にとっても深いところに届きます。この日からKさんは、送迎の車が来るのを玄関で待つようになりました。
⚠️ 3日間ですべてが解決するわけではありません。ただ、この3日間の関わり方が、その後の継続利用の土台になることは確かです。焦らず、でも諦めず、が私たちのスタンスです。
✓ ここまでのポイント
- 「デイ=施設入所」という誤解を丁寧に解くことが最初の一歩。無理に説得しようとしない
- 最初の3日間は「慣れさせる」のではなく「顔見知りになる」時間として設計する
- 半日型の体験利用・名前で呼ぶ・好きな話題を引き出すなど、小さな成功体験の積み重ねが拒否感を和らげる
「楽しみ」が先にあると、人は動く ― チャレンジクラスという切り札
リハスタジオ花咲には、機能訓練だけでなく「チャレンジクラス」という月2回の外出レクリエーションがあります。大宮盆栽美術館、秩父34観音霊場巡り、いちご狩り、深大寺(神代植物公園)……現役時代に忙しくて行けなかった場所を、仲間と一緒に訪れる時間です。
「機能訓練をしに行く」より「〇〇へ行ける」という具体的な楽しみを先に伝えると、デイへの印象がガラリと変わることがあります。Kさんも「いちご狩りって、もう何十年も行ってないわ」とおっしゃっていました。「今だからできる新しいチャレンジ」――そう感じていただけることが、私たちが一番届けたいものです。
「生きがい活動という毎月2回のイベントが楽しみ。10人規模のスタッフと一緒に回るので安心」
リハスタジオ花咲 ご利用者様
「クロスワードから体操・マシン運動など短い時間ですが、大満足。足湯のほっこりした時間が嬉しい」
リハスタジオ花咲 ご利用者様
ご家族様へ ― 「あなたが頑張りすぎない」ことも大切なケアです
「親を施設に預けるのは、見捨てることじゃないか」――そんな罪悪感を持つご家族様と、私たちは何度もお話ししてきました。でも、介護する側が疲弊してしまえば、在宅での生活は長く続きません。デイサービスを利用することは、親御さんの社会参加と安全を守りながら、ご家族様が「呼吸できる時間」を取り戻すことでもあるのです。
株式会社ホープシード代表の伊澤は、常々こんなことを口にしています。
「介護で一番孤立するのは、実は家族なんです。ケアマネ、病院、業者、市役所……連絡先がバラバラで、誰に何を聞けばいいか分からなくなる。私たちはデイだけじゃなく、住まいの改修も不動産の相談も一緒に引き受けられる。だから『もう大丈夫ですよ』と言える存在でありたいと思っています」
伊澤 雄馬(株式会社ホープシード 代表取締役)
加須市は人口約112,000人のうち高齢化率が31.5%、3.3人に1人が65歳以上という地域です。一人暮らしや老老世帯が増える中で、「親の様子が心配だけど平日は動けない」という50〜60代の子世代の方が、実はとても多くいらっしゃいます。私たちは、そういうご家族様の「窓口」になりたいと思っています。
まとめ ― 「嫌だ」は終わりではなく、始まりのサイン
認知症の親御さんが「デイに行きたくない」と言うとき、それは「怖い」「不安だ」「自分のことを大切にしてほしい」というサインであることがほとんどです。その気持ちを受け止めながら、顔見知りになる時間を丁寧に作っていくこと――それが、私たちリハスタジオ花咲が大切にしている「最初の3日間」の本質です。
「うちの親でも行けるかな」「まず話だけでも聞きたい」という方は、お気軽にお声がけください。体験利用のご相談も、いつでもお受けしています。加須市内の地域密着型通所介護として、ご利用者様とご家族様に「ここに相談してよかった」と感じていただける場所でありたいと思っています。
お電話でのご相談は 0480-53-7143(受付:月〜土 8:30〜18:00)まで。メールでのお問い合わせはお問合せフォームからどうぞ。まずは一言、「デイを嫌がっているんですが……」とだけ教えていただければ大丈夫です。一緒に考えましょう。