「先生に『もっと動いてください』と言われたけど、何をどうすればいいの……」
夏の暑さが和らぎはじめ、外出しやすい季節に差しかかる9月。ちょうど今ごろ、ご家族から「秋になったら体を動かさせたい」という相談が増えてきます。でも、脳梗塞後遺症で歩行が難しくなった方の場合、「何をどこからはじめれば」と途方に暮れるご家族がほとんどです。
加須市で介護×建設のハイブリッド事業を展開する株式会社ホープシードの代表、伊澤幸子です。私たちが日々の現場で向き合っているのは、「動きたくても動けない」ご利用者様と、「助けたくても助けきれない」ご家族様の現実です。今回は、サルコペニア(筋肉量低下)の予防に効果的な運動プログラムを、実際のケースを交えながらお伝えします。
📋 この記事でわかること
- サルコペニアが「転倒・入浴困難」と直結する理由
- 歩行困難な高齢者でも取り組める運動プログラムの具体例
- デイサービスでの機能訓練と自宅バリアフリー改修の「二段構え」の作り方
- 介護保険の住宅改修費20万円枠を使った浴室改修の進め方
こんな方におすすめ
- ✅ 脳梗塞後遺症の夫(父・母)の筋力低下が気になっている方
- ✅ 老老介護で入浴介助が限界になりつつある方
- ✅ デイサービスを検討しているが、本人が嫌がっていてどうしたらいいか迷っている方
- ✅ 自宅の浴室・段差が危険で、転倒事故が心配な方
- ✅ 介護保険の住宅改修費の使い方を知りたい方

「転んでから後悔した」その前に――サルコペニアと転倒・入浴困難の関係
サルコペニアとは、加齢や疾患によって筋肉量・筋力が低下した状態のことです。脳梗塞後遺症がある方の場合、麻痺側の筋肉が使われにくくなるうえ、「怖くて動かない→さらに筋肉が落ちる」という悪循環が一気に加速します。
特に問題になるのが、入浴動作です。浴槽をまたぐ、洗い場で立ちあがる、この二つの動作には足腰の筋力と体のバランスが欠かせません。筋肉量が落ちると滑りやすい床でふんばれなくなり、「ちょっとよろめいた」が即・転倒につながります。
84歳の夫の入浴を毎日支える妻が、腰や膝を痛めてしまうケースは珍しくありません。介助する側も「いつか自分も倒れるんじゃないか」という不安の中で暮らしているのが、老老介護の実情です。フレイル(虚弱)の予防と現在地の確認という視点でも、早期に動き出すことが大切です。
「どんな運動をすればいい?」――歩行困難な方でも続けられるプログラム例
脳梗塞後遺症による歩行困難がある方に「歩いてください」と言っても、それだけでは危険なこともあります。大切なのは、その方の現在の体の状態に合わせたプログラムを、専門スタッフの見守りのもとで段階的に積み上げていくことです。
私たちの半日型デイサービス「リハスタジオ花咲」では、要支援1〜要介護3の方を対象に、ICカードで個別管理するマシン訓練を実施しています。一人ひとりの筋力レベルに合わせて負荷が自動設定されるため、「頑張りすぎて痛めた」というミスマッチが起きにくい仕組みです。
具体的なプログラムの例をご紹介します。
機能訓練 STEP 1
坐位でできる下肢筋力トレーニング
椅子に座ったまま、足首の曲げ伸ばしや膝の引き上げ運動から始めます。転倒リスクがなく、歩行困難な方でも安全に取り組める入口です。浴槽をまたぐ動作に必要な股関節・太もも前面の筋肉を少しずつ目覚めさせます。
⚠️ 麻痺側と非麻痺側で筋力差があるため、左右バランスを確認しながら進めることが重要。自己流でやると非麻痺側に頼りすぎる代償動作が固定化するリスクがあります。
機能訓練 STEP 2
レッドコード・ストレッチによる体幹の安定化
天井から吊るしたロープ(レッドコード)を使い、体のバランスを整えるトレーニングです。体幹が安定すると、立ちあがり動作や浴室内での方向転換が格段に安全になります。ヨガ要素を取り入れたストレッチも組み合わせ、楽しみながら続けられる工夫をしています。
⚠️ 体幹訓練は「地味で効果が見えにくい」と感じがちですが、転倒予防の要です。3〜4週間継続して初めて変化が実感できるため、途中でやめないことが鍵です。
機能訓練 STEP 3
平行棒・歩行補助具を使った立位・歩行訓練
STEP 1〜2で下肢筋力と体幹が安定してきたら、立位時間を少しずつ伸ばし、歩行距離を段階的に広げていきます。「歩行距離を延ばす」ための段階的プログラムでは、その進め方をより詳しくまとめています。
⚠️ 「歩けた!」という達成感が出てくると、ご本人やご家族が自宅でも一人で歩かせようとするケースがあります。転倒リスクは自宅環境によって大きく変わりますので、必ず担当スタッフに自宅の状況を伝えてから判断してください。
✓ ここまでのポイント
- サルコペニアは「動かないこと」でさらに加速する悪循環を生む。脳梗塞後遺症がある方は特に注意が必要。
- 歩行困難でも、坐位訓練→体幹トレーニング→立位歩行と段階を踏めば、安全に機能訓練を続けられる。
- 自己流ではなく、ICカード管理や専門スタッフの見守りがある環境での訓練が再転倒を防ぐ。
坐位訓練から始めて段階的に筋力をつけていく流れは理解できても、「うちの夫の状態でどのSTEPから始められるのか」は、やはり実際に見てもらわないとわからない部分です。デイサービスの体験利用や、自宅浴室の改修相談を同時に持ち込める窓口が一つあると、次の一手が明確になります。まずは現在の状況をそのままお伝えください。
「クロスワードから体操・マシン運動など短い時間ですが、大満足。足湯のほっこりした時間が嬉しい」
リハスタジオ花咲 ご利用者様
この声をいただいた方も、最初は「デイなんて行きたくない」とおっしゃっていたと伺っています。でも一度来てみたら、足湯で体が温まる感覚、スタッフやほかのご利用者様との会話が「また来たい」につながっていった。運動のプログラムは大切ですが、「来るのが楽しみ」と思えるかどうかが、継続できるかどうかを決める最大の要素だと感じています。
運動だけでは不十分――「施設での入浴」と「自宅バリアフリー改修」の二段構えが必要な理由
機能訓練で体を動かせるようになっても、自宅の浴室環境が整っていなければ、転倒リスクはなくなりません。むしろ「少し動けるようになった」タイミングが一番危ない、と私は業界経験21年の中で何度も目の当たりにしてきました。
「少し立てるようになったから」と浴室への段差をまたいで転倒──こういう事故が、回復期に集中して起きるのです。
「介護現場を持っているからこそ、利用者様の実際の動線が見えます。どこに手すりがあれば安心か、引き戸にすることで介助者の体への負担がどれだけ変わるか、それを肌で知っている会社が設計・施工に関わることに意味があると思っています」
伊澤 幸子(株式会社ホープシード 代表取締役)
ホープシードが「介護×建設」のワンストップ体制を作ったのは、まさにこのギャップを埋めるためです。デイサービスで毎週体を動かしながら、並行して自宅の浴室をバリアフリー化する──この二段構えが、在宅生活を長く続けるための現実的な答えです。
脳梗塞後遺症で歩行困難な方の浴室改修でよく行う工事は、次の通りです。
チェックポイント①:浴槽入口の段差解消・手すり設置
浴槽をまたぐ高さが15cm以上ある場合、片麻痺の方には大きな負担です。入口段差の解消と横手すり・縦手すりの組み合わせが、安全な入浴動作の基本になります。
✅ 株式会社ホープシード:介護保険住宅改修費(1人20万円枠、自己負担1〜3割)を活用した施工に対応。介護保険適用の書類作成もサポートします。
チェックポイント②:洗い場の床材変更(滑り止め)
タイル床は濡れると非常に滑りやすく、転倒事故の主な原因になります。滑りにくい素材への貼り替えは、比較的小規模な工事で対応できます。
✅ 株式会社ホープシード:デイサービス現場で実際の利用者様の動き方を見ているスタッフが、工事前に自宅の動線を確認したうえでご提案します。
チェックポイント③:ドアの引き戸化
開き戸のままでは、倒れたときにドアが当たって助けに入れないケースがあります。引き戸への変更は介護保険住宅改修費の対象工事です。
✅ 株式会社ホープシード:介護現場の動線を理解した自社施工で対応。大手が敬遠しがちな小規模な介護リフォームも本業として受け付けています。
1日型デイサービス「リハスタジオプラス」では、天然ミネラル岩塩入りの浴槽で週3回以上の入浴を確保できます。「施設でしっかり入浴→自宅では安全に手すりを使って体を拭く」という役割分担も、老老介護の配偶者の体力を守るための選択肢の一つです。フレイル予防においてデイサービスにできることも、合わせて参考にしてみてください。
「専門家に相談すべき」判断のポイント――こんな状態なら早めに動いてください
以下のいずれかに当てはまる場合は、自宅での様子見ではなく、できるだけ早くデイサービスや介護リフォームの相談を動かしてください。
- 🔴 介助者(配偶者)が腰・膝の痛みを訴えはじめている
- 🔴 直近3ヶ月で転倒またはヒヤリハットが1回以上あった
- 🔴 週に1回以下しか入浴できていない(皮膚トラブル・不衛生のリスク)
- 🔴 退院日が決まっているが、自宅の改修がまだ何も始まっていない
- 🔴 ケアマネ・市役所・業者と連絡先が散乱していて、誰に何を頼めばいいかわからない
特に「退院後の在宅復帰を急いでいる」ご家族の場合、デイサービスの利用開始と浴室改修を同時並行で動かすことができるのは、介護と建設の両方を持つホープシードならではです。窓口を一本化することで、連絡先が散乱するストレスを減らすことができます。
まとめ:「動けるうちに環境を整える」が、自宅生活を長く続けるいちばんの近道
サルコペニア(筋肉量低下)の予防に効果的な運動プログラムは、「ただ体を動かす」ことではありません。その方の現在の状態に合わせた段階的な訓練を、安全な環境で継続すること。そして、訓練で体が動きやすくなった先に「帰る家が安全かどうか」をセットで考えること。この両輪が揃ってはじめて、在宅生活の継続が現実のものになります。
「まだ大丈夫」と思っているうちに転倒が起き、入院→寝たきりという流れは、加須市内でも決して少なくないケースです。今動けているうちに、環境を整えておくことが何より大切だと、私たちは現場で毎日感じています。
ご相談はお電話でも受け付けています。お気軽にお声がけください。
📞 0480-53-7288(受付:月〜土 8:30〜18:00/祝日 9:00〜18:00)
「施設での入浴確保」と「自宅バリアフリー改修」を同時並行で進めるには、どこから手を付ければいいか、記事だけでは判断しきれない部分が残っていると思います。介護保険住宅改修費の申請書類、デイサービスの利用開始、自宅の浴室動線の確認――この三つを一本化して動かせるかどうかが、ご家族の負担を左右します。今の状況を教えていただければ、具体的な順番をご提案します。